ちょうしフラット通信

30歳差夫婦の絆が支えるイルカウオッチング!その魅力とは?大富奈穂子さんインタビュー

2018年6月26日

銚子観光の見どころの一つである「イルカウオッチング」などを行う、有限会社 銚子海洋研究所の専務取締役・大富奈穂子さん。

前編では銚子との関わりや大富さんのこれまで、震災の辛い時期などのお話を伺いました。
後編では、そんな辛い時期を乗り越えた大富さんの現在や、知られざるプライベート、イルカウオッチングの見どころなどをお届けします。

大富奈穂子さん(32)
大阪生まれ大阪育ち動物関係の専門学生時代に研修で銚子海洋研究所に来たことが、銚子とのご縁のはじまり。
海洋研究所所長の宮内幸雄さんを公私ともに支えるパワフルウーマン。

辛い時期を乗り越えてすっかり銚子人に

編:震災の大変な時期を乗り越えて、銚子に根付いてくれたんですね。大富さんが感じる銚子の魅力ってなんですか?
大富さん:やっぱり自然ですね。イルカもクジラも含めて、ロケーションがいい場所がいっぱいあるところに魅力を感じています。

編:例えばどんなところが好きですか?
大富さん:渡船場(現在の河岸公園周辺)から銚子大橋と広大な利根川を眺めるのが好きです。地球が丸く見える丘展望館の下から見る海の景色も気に入っています。

編:銚子は海が大きく見えるのが本当に魅力的ですよね。
大富さん:それから、時間に追われる都会の生活と違ってのんびりした生活も気に入っています。電車が1時間に1本しかないのも慣れました(笑)
大阪ではなかった近所付き合いも楽しいです。近所付き合いで生きているようなものなんじゃないかな。おすそ分けをいただいたり、子供たちにもよくしていただいたり、すっかり銚子に溶け込んでしまったのでもう大阪では生活できないと思います。これまでは子育てのことは大阪の友達に相談していましたが、子供が保育園に行くようになってからは、私と同じように働きながら子育てしているママ友ができたので、銚子にも相談できる相手が増えました。子供のおかげで、地元の人とより深く関わるようになりましたね。

30歳差夫婦の絆

編:今日はプライベートなお話も聞かせていただきたいです!実は大富さん、所長である宮内さんとはご夫婦なんですよね。
大富さん:そうなんです。30歳差なので夫は両親より年上で……(笑)

編:きっかけはなんだったんですか?
大富さん:常に前を向いて走り続けている人なので、もともと上司として素晴らしい人だと思っていました。仕事でできる限り手助けできればと支えてきたのが、徐々に変わっていったという感じでしょうか。
特に震災の時はどん底で、続けられるのかどうかわからない状態でした。でも、たくさんの方が応援してくださったので「よし、やっていこう!」と結束力がそれまで以上に高まりました。その苦労を一緒に乗り越えた辺りから恋愛感情が芽生えたのかな。
そうこうしているうちに子供を授かったので、そのまま結婚となりました。家族には大反対されましたし、銚子では行くところ行くところで「結婚したの?」と驚かれましたが、今は家族も認めてくれていますし、周囲も慣れたみたいです(笑)

編:今や2人のお子さんに恵まれて、本当に幸せそうですもんね。出産や育児で銚子の海にイルカが集まったり、イルカウオッチング自体がリラックスできて妊娠に良い精神状態になったり、妊活にも良さそうな感じがしますね。
大富さん:それもあるかもしれませんね。実際、子供は2人とも安産で、5〜6時間で産まれたんです。すぽんって!船に乗ると筋肉も使うので、いい運動になっていたのかも。

編:宮内さんの好きなところを聞いてもいいですか?
大富さん:えー!?(笑)そうですね、いつまでも子供っぽいところがあるんですけど、常に夢を持っているところでしょうか。応援してあげたくなっちゃうんですよね。強面で偉そうに見えるかもしれませんが、全然そんなことはなくて、家事育児もしっかり手伝ってくれます。

編:大富さんを頼りにして、感謝している宮内さんの気持ちが会うたびに伝わってきます。
大富さん:そうですか?私には伝わってこない(笑)
編:(笑)宮内さんの夢を実現するために一生懸命動いて、それを大富さんが支える。本当に理想のご夫婦だと思います。逆に嫌なところは?
大富さん:靴下を洗濯機に入れてほしいとか、本当に日常的な普通の不満ですね(笑)最近では子供をだしにして「空はできるのにパパできへんな〜」なんて、そんな毎日です。

銚子観光の目玉「イルカウオッチング」の魅力とは


▲カマイルカ

編:そんなお二人が夫婦二人三脚で行っているイルカウオッチングは、今や銚子の観光の目玉の一つです。ウオッチングではどんな生き物が見られるんですか?
大富さん:主に出産や子育てで銚子近海に来ている生き物を見に行くので、季節によって変わります。
4〜5月はカマイルカの季節で、イメージ通りのイルカウオッチングが楽しめます。6〜10月がスナメリ。スナメリはイルカの中でも顔がかわいいと言われているんです。たまに頭を出すときがあるんですが、その時は本当にかわいいんです!多いときは100〜200頭の群れに出くわすこともあるので、そうするとかわいい顔がしっかり見えます。スナメリの魅力はもっともっと伝えたいなと思っています。


▲スナメリ

編:私もスナメリはかわいいと思います!6〜10月と、長い期間見られるんですね。
大富さん:スナメリは1年中見ることができます。でも、夏に多く見られるので夏がおすすめです。

編:11月以降は何が見られますか?
大富さん:11〜1月はマッコウクジラ、2〜3月はオットセイがメインです。オットセイは沖から2〜3時間のところにいて、3月頃は子供だけで泳いでいることもあります。ひれをぱたぱたしたり、飛んだり、いろいろな表情のオットセイが見られます。


▲ジャンプするオットセイ

編:オットセイって飛ぶんですね!見てみたいです。そのシーズンも興味深いですが、特に大富さんがおすすめしたいシーズンはいつですか?
大富さん:おすすめはカマイルカシーズンですね。ボランティアスタッフとして働き始めたのが4月のカマイルカシーズンだったので、初めて見たのが1000頭ほどのイルカの群れだったんです。カマイルカが船を囲んで、後ろからもついてくるし、遠くではジャンプしている姿が見られて、本当に圧巻でした。その光景が今でも忘れられないので、いまだにカマイルカシーズンが大好きです。

編:1000頭も!そんなに見られるんですね。
大富さん:毎回ではないですが、たまにそういうこともあるんです。他の地域は、1度に見られるイルカは数十頭が限度なので、銚子で見られるイルカの頭数は他の地域とは比べものにならないと思います。
カマイルカのシーズンはカマイルカだけではなく、他の種類イルカ、クジラ、サメやマンボウも見られます。どんな生き物に会えるかわからないワクワク感もありますね。
1〜2年前に初めて遭遇した種類がいるので、これからも新しい種類の生き物に会えるかもしれません。私たちも日々楽しんでいます。今年のカマイルカシーズンは終わってしまったので、来年来ていただけると嬉しいです。

編:私は船が苦手なんですが、この話を聞いていると行きたくなってしまいますね。小さいお子さんでも楽しめるんですか?
大富さん:カマイルカとクジラは小学生以上、スナメリなら3歳以上で船に乗ることができるので、お子様連れで気軽に来て欲しいです。夏は船に乗ってるだけで気持ちいいですし。
アホウドリなどの鳥を見るために乗る方もいますし、夕日クルーズや日の出クルーズ(お正月)など銚子周遊クルーズもあります。

編:本当に楽しそうですね!ウオッチングをより楽しむコツはありますか?
大富さん:乗船中は待ち時間も多いので、船に置いてあるオリジナルのネタ帳をぜひ見ていただきたいです。イルカやクジラのトリビアを可愛いイラストとともに紹介しています。大人な内容のトリビアもあるので、皆さん楽しめると思います。

一期一会の奇跡!海の生き物との出会い・乗り合わせた人との出会いを楽しんで

編:最後に、これからの夢やイルカウオッチングを通して叶えたいことを教えてください。
大富さん:うさぎが好きなので、銚子海洋研究所にうさぎと触れ合えるスペースを作りたいと思っています。
水族館(犬吠埼マリンパーク)もなくなってしまったし、子供たちが遊べる場所があまりないので、小動物がいてちょっと時間を潰せるスペースがあったらいいなと思って。もう免許も取ったんですが、人手や資金の問題でなかなか難しいのでいつか余裕ができたらやりたいと思っています。

編:より小さなお子さんも楽しめそうですね。
大富さん:大きな願いは、多くの人に来ていただいて、この海を知っていただくことです。
それから、来てくれたお客様同士をつなぎたいとも思っています。一期一会ですが、フェリーと違ってみんなが同じ目的で船に乗っているので、船の上で友達になるお客様も多いです。私がみんなをつなぐ役目を果たして、乗り合わせた人同士で喜びを分かち合ってくれたら嬉しいです。

(聞き手・佐野明子 / 文・江戸しおり)

イルカ・クジラウオッチング 銚子海洋研究所
〒288-0025 千葉県銚子市潮見町15-9
0479-24-8870

イルカ・クジラウオッチング 銚子海洋研究所
前編の記事はこちら→震災を乗り越えて今がある。銚子観光の目玉「イルカウオッチング」を小さな体で支える女性に迫る〜大富奈穂子さんインタビュー〜