ちょうしフラット通信

醸造所をコミュニティビアパブに!ビールでコトおこしを狙う1人の女性の挑戦

2018年4月18日

2017年6月に銚子で誕生した、魚に合うご当地ビール「銚子エール」。完成までには様々な苦労があったそうですが、今後どのようにしていきたいところかも気になるところ。そこで、銚子ビール代表プランナーの佐久間快枝さんにお話を伺いました。

佐久間快枝さん(46)
銚子生まれ銚子育ち高校卒業後、アメリカに留学し、外資系IT企業数社に勤務。
3万台以上の売り上げを記録したヒット商品、自動ラップ式トイレのプロジェクトに30代のほとんどを費やし、事業部長としてブランディングをリードした経験を持つ。
2016年に銚子に帰郷し、銚子ビールプロジェクトを立ち上げる。
現在は銚子ビール代表プランナーとして、銚子ビールを通して銚子の活性化に取り組んでいる。

醸造所をコミュニティビアパブに。銚子ビールでコト起こしをしたい

ちょうしフラット通信編集部(以下、編):人気、知名度ともに日々高まっている銚子ビールですが、課題はありますか?
佐久間さん:銚子ビールは、ビールをつくって販売することがゴールではありません。銚子ビールを飲むために観光客に足を運んでもらったり、銚子ビールを地元の人が誇れるものにしたりすることで、銚子の活性化を促したいという想いがあります。そのために、銚子ビールの醸造所をつくり、銚子で銚子ビールをつくれるようにすることが直近の目標です。そして、地元の方には、「銚子ビールの醸造所」ではなく「自分のもの」だと思ってもらい、コミュニティプレイス、コミュニティビアパブとして機能するような、銚子を盛り上げる拠点となってほしいです。醸造所をつくるには、場所選びはもちろん、設備がないと製造免許が取れないので、先に設備投資、それから免許が取れるまで半年〜1年かかってしまうので、それが今の課題です。

編:銚子に醸造所ができれば、名実ともに正真正銘の銚子ビールとなりますね。とても楽しみです。目標としているモデルはありますか?
佐久間さん:スコットランドの、BrewDog(ブリュードッグ)というクラフトビールのブランドが気になっています。田舎町の小さな醸造所から始まったのですが、今や世界中にパブや醸造所を持つ大規模なブランドとなりました。そして、スコットランドの小さな街に、数百人、数千人規模の雇用を生み出しています。そこまでの規模にする予定は今のところありませんが、銚子ビールによって、飲食店、醸造所などで少しでも雇用が生まれればと思っています。具体的な数字はまだ全く見えていませんが、そのような場づくり、経済効果を生み出すことを目指し、銚子ビールでコト起こしをしていきたいです。

編:銚子ビールをきっかけに、外から銚子が盛り上がるだけでなく、中からの活性化も大いに期待できそうですね。
佐久間さん:今、地元の多くの方に銚子ビールを応援していただいています。しかし、数字を見てみると、観光客がこぞって来る場所で売れていることがわかっているので、もっと地元の方に飲んでほしいという想いがあるんです。地元向けに価格を検討することも考えていますが、試飲しながら意見を出し合って、新しい銚子ビールをみんなでつくったり、名前を決めたりして、銚子ビールが地元のものになってくれたら嬉しいです。

「海風でビールを育む」銚子ならではのビールづくりに取り組みたい


▲銚子エールの仲間がどんどん増えるかも…

編:醸造所ができれば、銚子ビールのバリエーションがもっと増えそうですね。具体的な商品アイデアはありますか?
佐久間さん:第一号は銚子エールでしたが、犬吠埼ホワイトとか小畑グリーンのように、地名をつけて、銚子を楽しんでもらえるビールをどんどん作っていきたいです。

編:名前から味を想像するのが楽しそうですね!こんな味を作りたいというビジョンはありますか?
佐久間さん:こんな作り方をしたいというアイデアはあります。銚子ビールを、銚子でしか作れない、銚子ならではのビールにしたいと思っているので、銚子の気候を利用してみてはどうかと思っています。「ベネンシアドール」(シェリー酒のソムリエのような資格)を持っているので、シェリー酒には詳しいので、そこからヒントを得ました。シェリー酒はスペイン南部のへレス・デ・ラ・フロンテーラという場所でつくられます。へレスは突端があって、銚子に少し似ているんですが、そこでつくられたものしかシェリー酒と名乗れません。そして、シェリー酒は、樽で熟成する際にいい海風が入ってくるかどうかで出来が決まると言われています。銚子ビールも、樽で熟成して銚子の海風にさらし、波音を聴かせ、気候までビールづくりに取り入れたら面白いのでは?と思っています。タラソテラピー(海洋療法)の先生に言わせると、犬吠埼の海風は吸うだけで健康になるような塩分濃度なんだそうです。そんな海風にさらすことで、どのようなビールができるかはまだ未知数ですが、実現したら、銚子でしかのめない限定ビールとして売り出し、そのビールを飲むために銚子に来てもらいたいです。

編:銚子の海風を感じながら飲んでほしい、銚子ならではのビールですね。どんどん面白いアイデアが出てきそうですが、他にも計画していることはありますか?
佐久間さん:銚子電鉄と銚子ビールがコラボしたら、ビール電車ができるかもしれない。醤油とコラボしたら?漁協とコラボしたら?…銚子ビールと掛け算することで、さまざまなコト起こしができるんじゃないかと思っています。そのために、みなさんが掛け算したいと思ってくれるように、銚子ビールを盛り上げていきたいです。樽で生ビールを提供することも計画中なので、楽しみにしていてください。

銚子エールとは?
カッコいい海をバックにクールに飲みたい銚子ビール 佐久間快枝さんインタビュー
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