銚子の沖合は、水深200mの大陸棚が広がり、北上する黒潮と南下する親潮、そして利根川の流入による交錯で日本有数の好漁場を形成しています。県内外の旋網やさんま棒受網、沖合底曳網漁業などの大型漁船漁業から、釣り、延縄、小型底曳網漁業などの小型漁船漁業に至るまで、様々な漁業が営まれています。
そうした背景のもと、銚子漁港は全国屈指の水揚げを誇っています。水揚げされる魚種は、サバ、マイワシ、サンマといった多獲性魚のほかに、カツオ、マグロなどの回遊魚、キンメダイやヒラメ、カレイなどの底魚など約200種類に及ぶ近海の魚介類が水揚げされます。
なお、銚子漁港に水揚げされる全てのマグロは冷凍ではなく「生」マグロという大きな特徴があります。また、5~7月のマイワシは「入梅イワシ」と呼ばれ、特に太って丸みがあり1年の中で最も脂の乗りがよいことが知られています。その他にキンメダイは「銚子つりきんめ」として高級ブランド魚として全国的に有名です。
銚子の漁業は、今から約350年前の江戸時代、紀州の漁師たちが魚を追い求め、外川漁港を築いて移り住んだことにより大きく発展しました。現在の銚子漁港は、日本各地の漁船を受け入れる漁業基地として大きな役割を果たしています。銚子漁港の水揚げ量は、年間約20~30万トンの魚が取引される巨大な漁港です。漁港に水揚げされた魚は、利根川河口に設けられた第一・第二・第三卸売市場にて売買され、水産業者を経由して、新鮮なまま、あるいは加工品となって、全国の食卓へと運ばれていきます。
⚓第1卸売市場
主にマグロの水揚げの漁港です。見学も可能です。
【見学情報】
≪時間≫8:00 ~ 11:30
≪場所≫千葉県銚子市新生町1丁目36番地12
≪注意事項≫市場休場日は実施しておりません。水揚状況によっては施設の見学のみとなります。予約等は不要です。
※団体の場合のみ要予約
※新型コロナウイルス感染拡大防止の為、市場の見学は当面、休止となっております。
≪お問合せ先≫
銚子漁協 魚市場部市場庶務課
☎0479-22-7626
⚓第2卸売市場
サバ、マイワシなどの多獲性魚が水揚げされます。また、第三卸売市場で揚がりきらない場合は、こちらの第二卸売市場に水揚げされます。入札は、漁船から魚をトラックに水揚げし、魚をトラックに乗せたまま入札します。
⚓第3卸売市場
主にキンメダイやヒラメ、カレイ、ヤリイカなど、多種多様な底魚を中心に取り扱われます。(キンメダイは、外川漁港のキンメ船団により水揚げされます。)水揚げがある時は、銚子ポートタワーの展望室からも水揚げをご覧になることができます。
【見学情報】
≪時間≫8:00 ~ 11:30
≪場所≫千葉県銚子市川口町2丁目6528番地
≪注意事項≫市場休場日は実施しておりません。水揚状況によっては施設の見学のみとなります。予約等は不要です。
※団体の場合のみ要予約
※新型コロナウイルス感染拡大防止の為、市場の見学は当面、休止となっております。
≪お問合せ先≫
銚子漁協 魚市場部市場庶務課
☎0479-22-7626
⚓外川漁港
銚子漁業の発祥の地。主にキンメダイ漁を行うキンメ船団が集結しており、ブランド水産物「銚子つりきんめ」の漁獲管理、PRに活躍しています。
≪お問合せ先≫
銚子漁港外川支所
住所:千葉県銚子市外川町5-1
電話:0479-25-1166
ちょうし音旅ガイド:銚子漁港編
ちょうし音旅ガイド:漁業発祥の町ー外川ー編
イワシ
全国の沿岸から沖合にかけて広範囲に生息し、その種類もマイワシ、カタクチイワシ、ウルメイワシなどがあります。
沖合では、暖流の黒潮と寒流の親潮がぶつかる潮目であり、さらに、利根川からの淡水も加わるお陰で、年間を通じてプランクトンが豊富に発生する好漁場となっています。水揚げされるいわしは太って丸みを帯びており、特に入梅(梅雨の時期)の6~7月にかけて水揚げされるマイワシは「入梅イワシ」と呼ばれ、1年の中で最も脂がのって美味しくなります。
ちなみに銚子市の魚はイワシです。
サバ
日本近海には、マサバとゴマサバが生息しています。銚子に水揚げされる多くのサバは、マサバです。見分け方は簡単。マサバの腹は白色ですが、ゴマサバの腹にはごまをふったような黒い斑点があります。
銚子漁港において一番水揚げされているのがサバです。なんと水揚げ量の約半分を占めています。サバの旬は10月~翌2月頃。サバはまき網漁船で獲ります。幅の広い帯状の網で魚群を囲い込む、最も効率的な漁法です。イワシ類、アジ類、ブリ類もこの漁法で獲られています。DHAやEPA、ビタミン類が多く含まれる栄養価の高い魚です。
マグロ
銚子漁港に水揚げされるマグロの特徴は全て「生」です。比較的漁場が近いことから新鮮な生マグロが揚がります。中でも代表的なのが、メバチマグロです。鮮やかな美しい赤身が特徴です。味は本マグロと比べると少しあっさりとしています。銚子漁港では、1年を通して水揚げされますが、最も脂がのって旬なのは晩秋から冬です。
マグロは、はえなわ漁船で獲ります。70~160㎞の長い幹縄に約2000本の枝縄をつけた仕掛けを海に入れ、マグロやカジキがかかるのを待ちます。水揚げされたマグロ類やカジキ類を第一卸売市場にて見学できます。
サンマ
8月中旬~12月末まで漁が続きます。初秋の銚子に揚がる新サンマは鮮度抜群で、お刺身でも食べられます。サンマは、海面に近いところを群れて回遊しており、サンマ棒受網漁業で獲ります。サンマが光に集まる習性を利用して、集魚灯で集めたサンマを大きな四角い網(棒受網)ですくい取ります。秋の風物詩として、サンマは庶民の魚として食卓にあがっていましたが、昨今では、漁獲量が減少し、高価な魚となっています。
キンメダイ
キンメダイは水深200m以上の深海に住む魚です。金色に輝く大きな目と鮮やかな赤い体色が特徴で、白身の肉質はきわめて美味。 特に銚子沖のキンメダイは、冷たい親潮と暖かい黒潮がぶつかる日本屈指の豊かな海で育まれていることから、周年脂が乗っていることで知られ、他産地のものと比較しても抜群の脂ののりです。刺身や寿司ネタとしても抜群で、高級魚として取り扱われています。
中でも、銚子つりきんめは、立て縄と呼ばれる一本釣り漁法により1尾ずつ丁寧に釣り上げられたもので、魚体が綺麗で鮮度も抜群です。平成18年11月、「銚子つりきんめ」は、千葉ブランド水産物第1号に認定を受けました。
『銚子・海匝・九十九里 地域のおさかな発見ガイド』より抜粋
発行:千葉県広域水産業再生委員会 銚子・九十九里地区部会
※掲載内容は、2021年9月29日現在のものです。
<掲載情報について>
記事中で掲載している情報は、それぞれ発行時点でのものです。
このため、記事中で紹介しているリンク先ページは移動・削除・その他の理由により参照できなくなっている可能性があります。予めご了承ください。