犬吠埼灯台と旧霧笛舎・旧倉庫が
重要文化財の指定を受けました!
犬吠埼灯台は、イギリス人技師のリチャード・ヘンリー・ブラントンの設計・監督のもと、1872(明治5)年9月28日に着工し、1874(明治7)年11月15日に完成しました。
煉瓦は、当時、国内に良質な煉瓦がなく西洋の煉瓦を使用していました。しかし、中沢孝政技師は県内に良質の土を発見し、国産煉瓦の完成に腐心しました。その結果、外国製品に比べて遜色のない優良な煉瓦を完成させました。煉瓦は、灯台・付属舎・宿舎に19万3千枚を使用しています。
レンズは、当時フランス製の第1等8面閃光レンズでしたが、太平洋戦争でレンズの一部が破損してしまい、現在は、第1等4面閃光レンズを使用しています。この破損されたレンズは、一部復元され灯台資料展示館内において展示しています。
当時の銚子の人々は、灯台の灯りのせいで魚が獲れなくなってしまうのではないかと心配していましたが、点灯翌年には、カツオの大漁となり、灯台のおかげだと喜びました。
現在の犬吠埼灯台は、気象を提供する船舶気象通報や人工衛星(GPS)の誤差情報を提供するなどの業務も扱う最大級の灯台となっています。船舶が安全で経済的に運行ができるよう毎日光り守ってくれています。
灯塔の耐震性、耐風性、耐湿性などを考慮し、上がすぼまった二重の円筒形に煉瓦を積み上げて外壁と内壁の間に中空部をつくり、8ヶ所の放射線状のレンガ壁で両方をつないでいます。
技術的に優秀なもの、歴史的価値が高いものに該当するということから、国の重要文化財の指定を受けることができました。2020(令和2)年12月23日付け。
まず、技術的に優秀なものとしては、地震が多い日本において成の高い煉瓦構造を支えるために二重壁構造や帯鉄を挿入するなど、当時の先進的な技術を取り入れている点が挙げられます。
次に、歴史的価値が高いものとしては、3点が挙げられます。
1.北太平洋航路のために建てられてた最初の灯台
2.第1等レンズを備える現役の灯台の中では日本最古の灯台
3.旧霧笛舎は、現存する戦前の唯一の霧笛舎の遺構であり、また、明治期における鉄造の建築として貴重
【参観時間】 |
3月~9月 8:30~17:00 |
【参観寄付金】 | 300円(中学生以上) |
小学生以下、障がい者(介助が必要な方は介助者1人まで)の方はいただきません。 |
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【位置】 | 北緯35度42分28秒 |
東経140度52分07秒 | |
【塗色・構造】 | 白色 塔型(レンガ造) |
【光品質】 | 単せん百光 毎15秒に1せん光 |
【光度】 | 1,100,000カンデラ |
【光達距離】 | 19.5海里(約36㎞) |
【明るい弧】 | 169度から65度まで |
【高さ】 | 地上から構造物の頂部まで31m |
平均水面上から灯火まで52m | |
地上から灯火まで27m | |
【点灯年月日】 | 1874(明治7)年11月15日 |
何と言っても、灯台の上から眺められる、開放的な太平洋の雄大な景色です。のぼった者でしか味わえないこの達成感!素晴らしい景色に目も心も奪われてしまうでしょう。そのためか、のぼれる灯台としては、日本一の入場者数を誇り、年間約10万人が訪れます。ちなみに、階段は螺旋階段で九十九里にちなんで、99段あります。
景色だけでなく、外観も魅力的な犬吠埼灯台は、白亜の塔の美しくそびえ立っています。
まさに銚子の観光シンボルです!!
霧笛舎は、濃霧で灯台が見えなかったり、光が遮られる時、大きな音で灯台の位置を船に知らせていた施設でした。船舶は、30秒隔てて5秒鳴る圧縮空気で吹鳴器を鳴らすエアサイレン式の音を聴き取り、犬吠埼を識別しました。風向きによっては陸側にもかなり遠くまで聞こえ、その音から「犬吠の牛」とも呼ばれていました。館内では、当時の音を聞くことができるパネルを展示しています。1910(明治34)年に造られましたが、GPSの普及により2008(平成20年)に役目を終えました。
強い潮風にも負けず、100年以上もこのように残っているのは、代々の灯台守さんたちの管理のおかげです。
建物はすべてが鉄造によってつくられており、創業間もない官営八幡製鉄所製の鉄が使われています。
かまぼこ型屋根の鉄造建物は明治時代の日本の灯台に特有の様式ですが、現存するのは犬吠埼だけ!すべて鉄製のかまぼこ型建物(7m×14m)です。
国産の鉄を使った現存最古の建物と見られています。屋内には、エアサイレン式の機械装置が2ラインが見られると共に、復元された犬吠埼灯台の初代レンズが展示してあります。
犬吠埼灯台と同じく、1872(明治5)年9月28日に着工し、1874(明治7)年11月15日に完成しました。煉瓦造りで壁は内・外部ともにモルタル塗りの上に白色ペンキで塗られています。内部は2室に分かれていて、平成14年に倉庫から見学者用休憩所に改修後は、部屋の開口が新設されています。
木造の骨組みは、当時のまま保存しています。囲障の壁には(旧倉庫の横)、現在、白い壁になっていますが、中の当時の煉瓦が少しだけ見られるようになっていますので、ぜひ探してみてください。
国産第1号の第1等レンズ。
沖ノ島灯台初代レンズ。灯台のレンズは1番大きい1等レンズから順に6等まで、それより小さい等外という等級があります。犬吠埼灯台は、第1等レンズでレンズの内径が1.8m余りある大きなものが使用されています。
回転する第1級レンズが見られるのは、ここだけ!装置全体の高さは、5.15m、総重量は13トンもあります。その大きさに驚かれるかも!?土日祝日やイベント等がある場合に回転している姿がご覧になれます。
※掲載内容は、2021年10月19日現在のものです。
<掲載情報について>
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